日本医師会会員の勤務医比率は全国平均で49.6%(2018年度)ですが、静岡県では48.5%(2018年度)の状況にあります。静岡県医師会として、勤務医への支援活動が遅れているのではと反省し、これから各種情報の提供を積極的に進めていくつもりです。なお、日本医師会には「勤務医」の専用サイトが用意され、既に様々な情報提供がなされていますのでご活用いただければ幸いです。
さて、勤務医を取り巻く環境は近年大きく変化しています。先輩の後姿を見て、休みもほとんど取らず必死に働き続けてきた時代もありましたが、これからはある程度、ワークライフバランス等への配慮が重要となってきます。実際、国は今後の「医師の働き方」について、2017年4月6日の報告書で一定の見解を示しているほか、2024年4月に向けて医師の時間外労働時間の上限規制が設けられることとなっております。静岡県庁地域医療課内に開設されていた「ふじのくに医療勤務環境改善支援センター」も、2020年度より静岡県病院協会へ委託運営されることとなりました。
●新たな医療の在り方を踏まえた医師・看護師等の働き方ビジョン検討会 報告書
また、女性医師の比率が20%を超えた現在、医師のキャリアデザインもこれから大きく変わらないといけません。 とはいえ、臨床現場では相変わらず医師不足が叫ばれています。医師会として、医師不足の原因は大きく「地域偏在」と「診療科偏在」にあるとは考えていますが、現状厳しい環境下で臨床現場を守っている勤務医の先生方に、何らかの役立つ情報を提供し支援していきたいと考えています。なお、静岡県医師会では2020年度内に「静岡県医師バンク」の設置運用を計画しています。
近年、医療の機能分化や医療安全等の強化がこれまで以上に問われ、様々な制度や規制等が新設されています。「病床機能報告制度」に関しては、静岡県医師会として、県の「医療政策課」と協働し適切な医療提供体制の維持が図れるように議論を進めていきます。また、「医療事故調査制度」に対しては、勤務医の先生方が安心して診療に従事できるように、「医療事故調査相談窓口」を静岡県医師会内に設置しました。「新専門医制度」に対しては、医師生涯教育制度の中で、各種研修会の有効活用が少しでも図れるような対応に努めていきます。そのほか、医師会の会員となっていただければ、福利厚生面で、医師年金や医師信用組合、医師協同組合などの「各種サービス」をご利用いただけるような配慮をしています。
(なお、静岡県医師会では、「前期臨床研修医」の無料会員化を実施しています。ご関心のある先生方は、ご連絡いただければ幸いです。連絡先:静岡県医師会事務局総務課 TEL 054-246-6151)
さらに、勤務医にとって「医師の事務作業等を補助する職員」の育成も必要と考え、静岡県医師会では、日本医師会認定の「静岡医療秘書学院」 を支援するとともに、医療クラーク等の生涯教育に積極的に関与しています。
今後、勤務医の先生方に関心のある情報を随時提供していきますので、時々閲覧していただけると嬉しいです。
【勤務医委員会NEWSの創刊について】
本会では、平成28年度から、「医師の確保ならびに医師の勤務環境改善に向けた取組」を主要事業の1つとして掲げ、会内に設置した「勤務医委員会」を中心に、浜松医科大学、静岡県立病院機構、静岡県病院協会、ふじのくに地域医療支援センター等、関係者との連携のもと、医師の勤務環境改善や研修医を含む若手医師への各種支援を通じて、県内医師の確保・定着に取り組んでいるところです。これらの取り組みを広く関係者の皆様に情報共有していただくため、2018年1月に「勤務医委員会NEWS」を創刊いたしました。年間4回発行の予定ですので、是非ともご覧ください。